「結婚しないと思ってた オタクがDQNな恋をした!」的な

 たぶん今までカラスヤサトシさんの漫画を読んでた人だったら誰でも「カラスヤさんが結婚? 嘘でしょ?」って思うだろう。っていうか実際僕がそうだったから。
 というのは別にこの作者のカラスヤサトシさんがものすごく性格が悪かったりだとか、すごく女性にだらしなかったりとかそういうことでは決して無い。
 むしろ逆で作者本人の人柄の良さは彼自身の漫画から伝わってくるぐらい、非常に愛すべきキャラなのである。
 彼の漫画の登場人物はカラスヤサトシご本人とそれを取り巻く周りの知人(担当編集だったり、友人だったり)だけで構成されるエッセイ漫画で、作者本人だけしか出てこない日常を描くことが多い。その作者一人だけの日常がなんとも楽しそうに描かれてるのだ。30代後半にさしかかっても一人でガチャポン(僕的には「ガチャガチャ」と言ったほうがしっくりくる)のフィギュアで遊んでたり、一人で南京玉すだれをやってたり……、まさに「一人遊びの達人」と言えるかもしれない。
 この漫画からどれだけの孤独な独身男性が共感してきたことだろう。
 しかし、誰が想像したであろうか。あの非モテエッセイ漫画『カラスヤサトシ』の作者、カラスヤサトシが結婚するなんて、しかもデキ婚だなんて……。
 今の奥様との出会いから結婚に至るまでは本の後半に書かれており、前半は非モテの作者が恋愛を学び、お見合い、そして結婚へ……といった感じの企画漫画となっている。この前半部分を読んでいるだけでも作者本人が恋愛、そして結婚から遠い存在であったかということがわかるかと思う。
 僕個人としては、カラスヤさんの作風が結婚してからどう変わっていくのかが非常に気になるところ。福満しげゆき漫画みたいな感じになるのかな?(僕としては福満しげゆき漫画は結婚してから別ベクトルで面白くなったと勝手に思ってるので、カラスヤさんの作風が変わっていくのもそれはそれで面白いんじゃないかと思ってる)
 あと個人的に今作ではT田さん(『カラスヤサトシ』ではおなじみの名物担当編集さん)がとてもいい役割にいる気がする。出版社が違うため一つの4コマにしか出てこないが、今までで一番いいことをT田さんがおっしゃっている。なんだかんだ言ってこの二人はいいコンビだと思った。

 いつもはこんなに長く感想なんて書かないのだけど、パソコンに座ってからなんだか一気に書けてしまった。それだけ質の悪い文章になってる気がしないでもないけど、いつも下手くそな文章しか書いてないのでまあ、いいか……なんて思ってる。
 そして自分はどれだけこの作者が好きなんだ……ってここまで書いて思う。気づけばカラスヤサトシさんの漫画はすべて持ってるし(別ペンネームでのデビュー作もいつかは欲しいのだが、それがけっこうなお値段。詳しくはAmazon先生で!)、やっぱり彼の漫画は技術とか才能とか以前に何か人を惹きつけるようなものを持っているのではないだろうか。



 遅くなりましたが、カラスヤサトシ先生、ご結婚おめでとうございます! 末永くお幸せに!