「『ミントな僕ら』を読み終える」的な

ミントな僕ら (1) (りぼんマスコットコミックス (1058))

ミントな僕ら (1) (りぼんマスコットコミックス (1058))

少女漫画は本当に勉強になる。
特に女の人が書く男主人公の話はめっちゃ参考になる。
仮に、もしも男性作家が『ミントな僕ら』を書いたらどうなるかということを考えてみます。
ラブひな(1) (講談社コミックス)

ラブひな(1) (講談社コミックス)

そうなると『ラブひな』状態になってしまうに違いないんです。
だって男が一人女子寮にいるんだよ? ハーレム描写もなければ、お風呂シーンもないじゃないっ! 
なんでないのか……。それは少女漫画だからです! 当たり前ですが。



という感じでこの漫画は比較的ピュアな恋愛模様が描かれています。
この漫画のすごいところは「恋愛しかしてない」ところにあると思います。
だって恋愛しかしてないのに6巻も書けるってすごいよ! しかもエロなしでだよ! さらにイチャイチャもなしでだよ!(超男性目線) 本当にすごいよ!
あと出てくる人がみんなイケメン過ぎて泣きたくなる。
だって女の子がこういう漫画を見ながら育ったら
イケメンだけがモテる世界になっちゃうじゃない!
……あれ? なってる……?



まあ、そんな非リアな一人事はいいとして作品自体の感想を――。
まず、主人公の「のえる」、そしてその双子の姉の「まりあ」、この双子のキャラクターがものすごく可愛い。
というかまりあがすごくいい姉キャラすぎて全俺が泣いた。シスコンになっちゃう気持ちもわかりますね。
あと 男の娘×女の子 という図式なのになぜか僕の百合センサーが反応してしまいました。
えーとここまで書いてさぞかし女性の読者さんはどん引きしてることでしょう。(そして男性読者の方も若干引いていることでしょう)
ということでこっからちょっと真面目な話。
【ちょっとだけネタバレ注意】




この話の恋愛模様の図式は、主人公と周りのキャラクターの恋愛を応援してるうちにいつのまにか、その仲間内で恋愛に発展してしまう、という形。
少女漫画ではよくある話らしいが、実は男性読者にしてみればちょっと新鮮な図式。
この図式を応用して男性向けライトノベルで成功した例があります。

とらドラ!1 (電撃文庫)

とらドラ!1 (電撃文庫)

そう、『とらドラ!』です。これは少女漫画で鉄板の図式をあえて男性向けライトノベルでやってしまった。そしてそれが男性読者に受け入れられたわけです。
確かに『とらドラ!』も恋愛しかしてませんよね? エロも(少ししか)ありませんよね? まあ、いちゃいちゃはしてるんですが……。
そのジャンルでは「お約束」のことをあえて多ジャンルに生かしてみる、ということもヒットにつながるのかもしれない……そんなことを感じました。
あと、お互いの好意のズレから生じる破局……みたいな描写も男性向け作品にはない表現だと思いました。
男性向け作品だと「よくわからないけどふられちゃったぜちくしょー」の一言で終わるような表現を、この作品はまるまる1話、あるいは2話使って描いてる。そこがすごいと同時に男女の恋愛感のギャップみたいなものを感じました。




これを読んで女性向け恋愛ものへの壁みたいなものを感じました。(まあ元から書けるなんて思っちゃいないけどな! そりゃコバルトに送っても通らないよ!)
さんざんめんどくさいことを書きつつも『ミントな僕ら』非常に面白かったです。
次は『ママレード・ボーイ』読もうかな。